宮古島編
宮古では2ポイントでスノーケリング、1ポイントでダイビングを楽しんだ。吉野海岸と保良(ぼら)沖である。
吉野海岸
ここは内地から移り住んだおじさんが浜に住み着いて、サンゴを観光客が壊さないよう見張っていることで有名(?)なポイントである。(以前テレビにも登場)。サンゴの上に立ったりすると、おじさんは「サンゴの上に立たないでー。」と絶叫するそうだ、が残念ながら今回はその声は聞かれなかった。案内してくださった宮里さんによると、時折地元の人にも注意し、顰蹙をかうことがあるそうだ。肉声なのでいつか拡声器をプレゼントしたいものだ。
さて、本論。ユビエダハマサンゴ、エダ珊瑚、コブハマ珊瑚、テーブル珊瑚の楽園である。伊江島の秘密のポイントに大変よく似ているが、テーブルが元気なのには驚いた。伊江島は浅場にはテーブルが少ない。海岸海に向かって左側は変化に富み、右に行くと単調になる傾向がある(マイクロアトールになっているからかも)。砂浜の割に透明度も高い。でも、あの感動はない。期待が大きすぎたのか…先に伊江島の秘密のポイントを見てしまったからかもしれない。しかしこちらの方が秘密のポイントより上といっていいだろう。
保良沖
続いて保良沖へ。ここではスキューバダイビングをすることにした。かなりの距離を機材を背負って歩いた。途中ダイビングを終えて帰ってきた人に会った。「ここで潜るの?ここは初めてでしょ?流れも知らないのにダイビングするの?」彼は咎めるような口調で話し掛けてきた。「流れ、強いんですか?」「今日はないよ」。何だそりゃ。「ここはどうですか?」「行くんだったら右の方だね。左は深い所には何もないから。」良い情報に感謝し、沖に向かってさらに歩いた。すると潮が引いた所に珊瑚が現れていた。ちょっと驚いた。
「あの海」か?初めて行った時のワジと同じだ…。期待に胸を膨らませ海に入った。入るや否や妻は喜んでキャーキャー叫んでいる。「あの海」だ…。100%以上の被服度で浅い所から深場まで途切れることなく続く珊瑚…。まだあったんだ。
嬉しくなった。残念ながら透明度はイマイチだったが、あっという間に40分が過ぎ、浮上。波が少し高い。上がる場所を間違えると怪我をする。波に翻弄されながらも何とか上がると、宮里さんが他のお客さんとスノーケリングしていた。
一緒にスノーケルリングで余韻を楽しんだ。妻は言った「ここはこれまで見た海で一番きれいだった」。明日は伊良部島だ。期待が膨らむ。
夜、友人達と来間島に南十字星を見に行ったがあいにく曇っていて空は晴れなかった。
宮古島の案内人:今回、宮古島の案内は協栄タクシーの宮里さんがして下さった。子供時代を島で過ごし、
関東地方で結婚し、子供さんが中学の時島に戻ったUターン組である。海のポイントも良くご存知で、ダイビング用空気タンクを貸してくれるお店も紹介して下さった。宮里さんは吉野海岸より珊瑚のすごいポイントを他に知っておられるそうだ。協栄タクシーのホームページから観光案内申し込み可(宮里さんの指名も可)。
伊良部島編 2,3日目は高速艇で伊良部島へ。下調べによると、多くのダイビングポイントが目白押しの島である。案内は島ないちゃ―のIさんと奥さんがして下さった。
中の島(カヤッファ)ビーチ
恐らく殆どの人が伊良部島ではここでスノーケルを楽しむのではないだろうか。しかし比較的小さめのビーチである。珊瑚は期待を裏切ることなく浅い所からすぐ目の前に広がる。種類も多い。水深はそれなりにあるので、沖は余り初心者向きではない。魚種も豊富で、セジロ、カクレ、ハマクマノミ、ヘコアユなども見られた。リーフ外は波が高く、戻りにくい印象で珊瑚は思った程無かった。前日の保良沖のインパクトが余りに強烈で、感動が薄いのかもしれないが、大変珊瑚の美しいビーチである。砂浜のため、また湾になっているので微生物が発生するせいか透明度は低い。「冬場や気温の低い朝はもっと透明度が上がる」(Iさんの奥さん談)。
白鳥崎
二日目午前はボランティアを楽しみ、午後から島ないちゃ―Kさんに連れられ白鳥崎へ。スノーケリング初心者なので教えるという名目で足になっていただいた。Kさんは島に来てまだ一ヶ月、毎日仕事とボランティアに明け暮れ、ろくすっぽ遊びに行ってもいない。道も不案内なようで、何度も間違えながら漸く到着。白鳥崎はマンタがよく出るという。期待を胸にエントリー。Kさんの講習はほどほどに、とっとと沖へ出た。マンタ出ろ!マンタ出ろ!リーフ内は余り何も無く、リーフ外も目だった珊瑚の群生は無い。地形的には棚に穴があったりして面白いがスノーケリングではそこまで行けないので楽しめない。釣り場なので大きめの魚は多い。結局マンタは現れず、写真も殆ど撮らずサザエを2個だけ捕って陸に上がる。ポイントを変えよう。
下地島空港横
「K川さん(宮古のリピータースノーケラー)はいつもあそこで泳いでいたね。」誰かがそういうのを聞いた。そう言えば伊江島に来た時、K川さんは「下地島空港の脇にいい所を見つけたんですよ。」と言っていたような気がする。
というわけで、下地島空港横のイノーへ移動。テトラポットの横から入ろうとするとビーサンの鼻緒が切れ、出血!おおっ、これでは入れない!仕方なく、もう少し進んだ所の砂浜からエントリー。水面から見て色が濃く、珊瑚がありそうな所が沢山あったのに、行ってみると全部海草!やられた。しかし可愛いカクレクマノミに希望を見出し、どんどん進む。海草ゾーンが終わると、砂・砂・砂…。きれいな白砂がずーっと続いている。緩やかな波を通る日がそこを照らす。何とも癒される風景ではありませんか(toppage写真)!所々に岩があり、その岩に珊瑚が成長している。そこに群れる小魚たち、カニ、ウミウシ、緑色のヘラヤガラにウルマカサゴ…。
K川さんがいつも来るわけだ。あっと言う間に時間が過ぎ、疲れても来たので、テトラポットの方に行ってみた。テトラも珊瑚で覆われている…。端から端まで…エダ珊瑚にテーブル珊瑚まで。Kさんも夢中で、こちらが上がろうと言わないと帰る気配も無い。海を上がると時計は午後6時を過ぎていた。…あの感動があった。ここもある意味楽園、「あの海」だった。
夕食をSさん(奥様が島出身)宅(Iさんのご近所)でお呼ばれ。伊良部にスカウトされたが、丁重にお断り。帰りに空を見上げると、星がそれなりに見える。もしや南十字星が見えるのでは?と、Iさんにまた無理を言ってお願いすると、南の空が良く見える港に連れて行って下さった。水平線上は曇っているが少し上は晴れている。
星座早見盤で見ると大体南十字の一番上はこの辺りって所に明るい星が!「双眼鏡持ってくりゃ良かった。近くの星の並び方を確認できるのに!」と言うと、「はい。」とIさんが車に備え付けの双眼鏡を手渡す。渡りに船とはこのことよ!ありがとうIさん、勇んで例の星を見ると、どうやら肉眼では1つに見えたが、二重星のようである。島に帰ってから南十字星の一番上の星が二重星か星図で確認しよう。思わぬ収穫だった。
三日目
朝6時前、Iさんと奥さんは手際良く弁当を作っておられる。
今日は帰る日、その最後のお楽しみが磯釣りだ。期待を胸に白鳥崎へ。
うまくすればマンタも見られるかも!到着して釣り始めてから30分もしないうちに、妻の竿にHIT!Iさんの奥さんの指導に従って、何とかGET。イスズミである。30cmはある。このあと立て続けに妻の竿にHITし、結局イスズミ2匹とテングハギモドキ1匹を妻はGET。妻は2匹バラしたのにこの釣果。私はというと、アタリは殆ど無く、テングハギモドキ1匹のみ何とかGET。Iさんは大きなダツをGETするも「これ、まずいんだよねー。」とリリース。明らかなビギナーズラックに有頂天になり、妻はこれから釣りにはまるのではと思って尋ねると、「オキアミが臭いからはまらない。」と釣れない返事。Iさんは、浮きを脇目も振らず見つめ、しょっちゅう餌を付け替える妻とノホホーンと構える私を見比べて言った。「奥さんの方が素質がある」。
結局マンタは現れなかった。「次ぎ来た時のための宿題ですね。」Iさんにそう告げた。「そろそろ時間ですね。」Iさんに促され納竿。Iさん宅に帰る途中、車の中が妙に生臭い。着いてからマリンブーツを洗っているとそこから爆臭が!妻がオキアミをブーツで踏んでいたようで、これが犯人だった(伊江島に帰ってから洗濯物の中に同じくオキアミの香りが染み付いた妻のズボンも発見)いくら洗ってもなかなか臭いが取れない。妻よ、素質は分かったからオキアミをつけるのは針だけにしてくれ。その間にIさんは魚を計測して下さった。妻の釣った最大は36cmのテングハギモドキで、私が釣ったのは37cm!何とか面目躍如なのだー。
荷物をまとめ、後ろ髪引かれる思いでIさん宅を後にする。奥さんとはここでお別れ。奥さんはお土産に手作りの携帯ストラップを3つも下さった。港へはIさんが送って下さった。道端にはどこぞのおじさんが植えたヒマワリが延々と続いている。「この花、季節ごとに、あるおじさんが植え替えるんですよ。ボランティアでね。」おじさんのライフワークなんだ…。のんびりした町の風景ともこれでお別れ。港へはほんの数分、伊江島と同じだ。山のような荷物を船に載せ、Iさんと別れの抱擁を交わすと、船はすぐ岸壁を離れる。手を振るIさん、とその時、乗り遅れたオジイが…、船は彼を見捨てるかと思いきや、また岸壁に船首を寄せる!何とのどかな!(これは伊江島では考えられない。伊江村フェリーは時間厳守)。
別れを仕切り直し、おじさんも乗せた船はかくして岸壁を離れる。手を振る僕らに答えるIさん。(おおっ、伊江島と同じだ!)見えなくなるまで手を振ってくれるのか期待していると、Iさんはとっとと車に乗り込んだ(「なんや、結構淡白なんやIさん…。」)。ちょっと寂しくして(表現が「うちなーぷーじ」になっている)、席について外を眺めた。すると、何と!港の外れ、島の一番外側の岸壁にIさんが立って手を振っている!わざわざ車に乗ってあそこまで行ったんだ。Iさん、あんたは何て熱い男なんだ!妻と二人ちょっとウルウルしてしまった。かくして感動の伊良部島滞在は終わった。
伊良部から宮古本島に着くと宮里さんの奥さんが迎えに来てくださっていて、沖縄本島行きフェリー乗り場まで送って下さった。本当に有難い。美しい海よりずっと温かい人情である。売店でお土産と弁当を購入し、フェリーに乗り込んだ。有村海運のクルーズフェリー飛龍だ。前々から一度は乗ってみたいと思っていた結構豪華な客船である。2等船室であるにもかかわらず、部屋にシャワーがあり、雑魚寝ではなく2段ベッドなのだ。
チェックイン後、とっとと風呂に入り、船内を散歩後、レストランで持ち込み弁当とビールを楽しむ。酔う前に酔うだ!とその時「あのー、もうすぐレストランが開店するので、食べ終わったら出てくださいね
。」ウェイトレスのお姉さんの厳しい一言。そこを追われ、外の見えるテラスでもう少し飲む。と、船が出港。伊良部島がすぐに見え始める。さっきIさんが見送ってくれた岸壁も…。ほろ酔い気分で眠くなってきたので部屋に帰って爆酔。何せ毎日夜が遅くてずっと寝不足だったし。夕方目覚める。夕食まで少しラウンジでコーヒーを飲みながらお勉強。夕食はレストランで取る。ウェイトレスのお姉さんも今回は優しかった。堂々と食べた。食べたらサンセットの時間だ。デッキに上がって撮影…。陽も沈んで部屋に帰り、下船準備に入ると、同室のカップルが部屋に戻っていた。やはり彼らも宮古に行っていたようで、
すっかり宮古にはまってしまった様子だった。
彼は吉野海岸の写真を沢山見せてくれ、4人で宮古の話で盛り上がり下船。
この旅にふさわしいフィナーレとなった。
振り返ってみると確かに宮古に、そして伊良部に「あの海」はあったと言えるだろう。
しかし、いずれの島の場合でもどこにでもそれがあるわけではない。
伊江島にだって今でも「あの海」は残っている。アサヒ部落沖然り、秘密のポイント然りである。宮古に行って改めて自分が今いる伊江島にすばらしい海があることを再発見した気がする。
宮古に「あの海」が残っていたことは確かに嬉しい。でも、ほんとに数える程しかその海が無いことを考えると、少し寂しい気持ちになった。
汚染はそこまで進んでいる…。思った以上に「地は破滅させられている。」
(写真近々up予定。)
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